1979年のイラン革命、イスラムFundamentalismの台頭と西側世界への衝撃

20世紀のイランにおいて、最も劇的な出来事の一つが1979年に起こったイラン革命です。この革命は、長年続いたパフラヴィー朝を崩壊させ、イスラム共和国を樹立しました。その背景には、西洋化政策による社会不安、経済格差、宗教的抑圧などが複雑に絡み合っていました。

革命の火種：パフラヴィー朝の近代化政策と反発

1925年に即位したレザー・シャーは、イランを近代国家へと導くことを目指しました。彼は石油産業の開発、教育制度の改革、女性参政権の導入など、様々な政策を実施しました。しかし、これらの政策は伝統的なイスラム社会の価値観に反する部分もあり、一部の人々から強い反発を招きました。

特に、西洋文化の導入や宗教的自由の制限は、イスラム保守派の怒りを買い、「イスラムの価値観が失われている」という危機感が広まりました。

レザー・シャーの息子であるモハンマド・レザー・パフラヴィーも、父の政策を継承し、近代化を進めました。しかし、彼の時代には、石油収入の不平等分配や経済格差が深刻化し、貧富の差が社会不安を増大させました。

イマーム・ホメイニーとイスラム革命運動の台頭

1963年、モハンマド・レザー・シャーは、宗教指導者であるアヤトラ・フセイン・ボルガー・アル＝ホメイニーを逮捕し、国外追放しました。この事件は、イランのイスラム社会に大きな衝撃を与え、ホメイニーに対する支持が高まりました。

亡命先のフランスから、ホメイニーはラジオやカセットテープを通じて、シャー政権への批判を展開し、イスラム革命を呼びかけました。彼のメッセージは、イランの人々に広く受け入れられ、革命運動を加速させました。

革命の激化とパフラヴィー朝の崩壊

1978年、イラン各地で抗議デモが頻発するようになりました。当初は学生や知識人によるデモでしたが、次第に一般市民も参加するようになり、規模が拡大していきました。シャー政権はこれらのデモを弾圧しようとしましたが、効果はありませんでした。

1979年1月16日、シャーはイランを離れ、エジプトへ亡命しました。そして、2月1日にホメイニーがイランに帰国し、革命の成功を宣言しました。パフラヴィー朝はここに終焉を迎え、イスラム共和国が誕生しました。

革命の影響：イランと中東の政治状況の変化

イラン革命は、イランのみならず、中東全体に大きな影響を与えました。革命後のイランは、アメリカ合衆国と断交し、イスラエルとの関係も悪化しました。また、革命によってイスラムFundamentalismが台頭し、周辺国にも影響を与えました。

革命の功罪：現代イラン社会への影響

イラン革命は、長年の独裁政権を打倒し、国民主権を実現するという点で評価されるべきでしょう。しかし、革命後のイランでは、宗教指導者の権力が強まり、自由や人権が制限されたという批判もあります。また、経済制裁による生活困窮や国際社会からの孤立も課題として残されています。

今日、イランは中東における重要な国であり、その政治・経済状況は世界に大きな影響を与えています。イラン革命は、現代イランのあり方を理解する上で欠かせない歴史的な出来事であると言えるでしょう。